Steve Harrison “Julia Cup”

12月20日（金）より、東京・OVER THE COUNTERと京都・HIN / Arts & Scienceで同時展開いたします。貴重な作品が集う機会です。皆さまのご来店を心よりお待ちしております。

“スケッチブックの愉しみは、さまざまなアイデアを思いのままに探求できる自由さにあります。今回の作品を構成する50点の〈ジュリアカップ〉は、スケッチブックを前にしたときと同じ自由な気持ちでの創作を讃えるものです。ここでの創作とは、問題解決に至ることではなく、異なる“言語”を見出すことです。

球根を彷彿とさせる〈ジュリアカップ〉のフォルムは、この20年間不動であり続けてきました。そもそもこのフォルムは、淹れたての紅茶の温かさを長く保ちたい、という妻ジュリアたっての希望から生まれたものです。今回の作品を通して〈ジュリアカップ〉は、私が手がけたほかのカップの進化——それはいまも続いています——のスピードに一瞬で追いついたかのようです。それによってシンプルなカップは、かけがえのない特別なものに変わりました。

創作するとき、私は常々、実現できることとそうでないこと、という現実的な問題の解決策を模索しています。しかし、今回はそうしたアプローチを排除したことで、スケッチブックを紐解くのと同じ高揚感を抱きながら取り組むことができました。50点の〈ジュリアカップ〉は、私にいままでと違う作り方だけでなく、新しいものの見方を与えてくれました。そうした発見が長きにわたって変わらないフォルムを保ち続けてきた作品からもたらされたのは、なんと興味深いことでしょう。”

－ スティーブ・ハリソン