本展でご紹介するのは、カータンのドローイングや版画作品をもとに、嘉戸がそのモチーフを唐紙の文様として読み替え、木版摺りによって形にした作品です。カータンの植物や鳥たちへの繊細な観察眼と、嘉戸が受け継ぐ唐紙の伝統技法。この出会いから生まれた唐紙作品をはじめ、屏風、ポスター、箱、ノート、カードなどをご紹介します。
両者は、作品の交換や多くのメールのやり取り、そして嘉戸のカリフォルニア訪問を経て、互いの思考や制作背景を共有しながら作品の方向性をすり合わせていきました。その対話の末に実現した特別な企画です。版画表現が唐紙の文様へと姿を変えた作品群を、ぜひご覧ください。
“嘉戸浩さんは、伝統的な唐紙の木版技法を受け継ぎ、繊細な図案を自ら彫り、上質な紙へと刷り上げる、卓越した作家であり職人です。この企画は、共通の友人であり、A&Sのオーナーであるソニア・パークさんが協業を提案してくださったことから始まりました。
私は嘉戸さんに自身の版画作品をいくつか送り、そのなかから興味を持っていただけるものがあればと思っていました。彼は「Blackbirds on Persimmon Tree」と「Lentil Plants」という二つの作品を選び、自身の技法へと読み替え、美しい唐紙作品へと仕上げてくれたのです。
今回、唐紙という文化について学ぶ機会を得られたことを大変嬉しく思うとともに、その長い伝統の一端に加えていただけたことを光栄に思っています。ソニアさん、そして嘉戸さんに心からの感謝を。”
- パトリシア・カータン
PROFILE
かみ添/嘉戸浩
Academy of Art University San Francisco グラフィックデザイン科卒業。卒業後ニューヨークへ渡り、フリーランスデザイナーとして活動。帰国後、唐紙の老舗工房に入る。2009年独立、同年9月ショップ兼工房「かみ添」を京都・西陣にオープン。依頼主のリクエストや用途に合わせて、余白や文様の再現性などを編集し唐紙に仕上げている。
パトリシア・カータン
アーティスト、版画家。活版印刷を学ぶなかで〈Chez Panisse〉オーナーのアリス・ウォータース氏と出会い、料理人として勤務。現在はサンフランシスコ近郊を拠点に、印刷や版画を中心とした制作活動を行っている。