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Behind the Scenes – 大嶽有一

本日より、ARTS&SCIENCE青山にて〈大嶽有一 鉄彫刻展〉が始まりました。岐阜県多治見市を拠点に制作活動を行う彫刻家・大嶽有一氏の鉄作品を、ファッションを提案するA&S青山にてご覧いただきます。移ろいゆく店内のディスプレイと大嶽氏の作品群による空間表現をぜひご覧ください。作品は年末まで展示いたします。

大嶽氏は、名古屋造形芸術短期大学の彫刻科を卒業した後、1972年から1980年までスイスのジュネーブに滞在し、その間にジュネーブ州立美術学校で彫刻と版画を学んでいます。渡欧前に彫刻による個展を開き、1975年以降は版画に注力、1980年代は再び鉄の彫刻作品の制作に重点を置き現在に至ります。いずれの作品もシンプルな形態で、繊細な配慮により生み出されています。A&S青山では、1986年から2023年の間に制作された作品をご紹介しております。空間との親和性も含めてぜひご覧ください。

なお、展示は京都のSHINYA Japanese Art & Designでも10月26日(土)より開催されます。2009年より大嶽氏の作品を紹介し続けている同店・オーナーの奥西真也氏に作品への想いを語っていただきました。

MESSAGE

“SHINYAは古美術品を扱う店ですが、2年に一度、現在活躍されている大嶽有一さんの鉄彫刻展を開催しています。彼の作品は鉄の板という平面の素材を使い、それを組み合わせて立体のかたちを造ります。組み合わせる技術は溶接ですので中は空洞です。それはどこで繋がっているかわからないほど綺麗に仕上がっています。かたちが完成すると自然に放置し、時間をかけて雨風にさらします。その自然が作り出した錆、テクスチャーはそれぞれの作品で違った表情を持っています。似たようなかたちであっても錆びさせる時間や季節、場所によって全く違う錆が付くため同じ表情の作品はありません。唯一無二のものです。

 

私は彼の作品のシンプルなかたち、線の美しさ、自然の中で生まれた表面の錆、テクスチャーに魅力を感じています。古美術に通ずるものがあるところが大嶽さんの作品に惹かれる理由なのかもしれません。自然の素材、シンプルなかたちなのでどこにおいても違和感がありません。畳の上、床の間、コンクリート、どのような場所とも相性が良いのです。A&Sでは、素材の良さを追求したものづくりをされているところが、大嶽さんの作品に通じる所があるのではないかと思います。この度のA&S青山での展示をとても楽しみにしています”

 

― SHINYA Japanese Art & Design 奥西真也

PROFILE

大嶽有一

彫刻家。1949年岐阜県多治見市生まれ。1970年名古屋造形芸術短期大学彫刻科卒業後、専攻科へ。1972年よりスイス・ジュネーヴに滞在。1975年に銅版画工房で指導を受け制作を始める。1977年にジュネーヴ州立美術学校彫刻科、同専攻科を卒業後、銅版画制作に専念。1980年に帰国し、多治見にて鉄彫刻の制作を行う。京都の古美術商SHINYAをはじめ様々なギャラリーで個展を開催。2020年に第10回円空賞を受賞。