A&S 2023AW – Gamaguchi Bag

「ガマ口はヨーロッパ生まれ」

そもそも、ガマ口はどこからやってきたのでしょうか？そのネーミングから、日本が発祥の地と思いがちですが、原型は16〜18世紀のヨーロッパで生まれました。留め具付きのチェーンで腰から下げていた生活用品は、17世紀には布製の巾着袋に収められ、金属細工や縫製技術が発展していく中で、布製の袋に金属フレーム（口金）が付きました。素材に革が用いられるようになり、財布やバッグという名称も生まれます。19世紀になると、鉄道の普及で旅行文化が生まれ、口金の付いたバッグや財布が次第に広まっていきます。

日本には、明治時代に舶来品として上陸しました。大正時代には、女性の社会進出に伴い、洋装とともに流行。昭和の戦後以降は、技術革新と大量生産とともに広く普及、特に女性ファッションの間で流行し、現在に至ります。

「ガマ口」のネーミングの由来は、「口金の形状がガマ蛙の口と似ている」の他に、「お金が返る（＝カエル）」「蛙は金運アップの象徴」など験担ぎの諸説があります。

「A&Sオリジナルのはじまり」

A&Sのガマ口バッグのはじまりは、オーナーのソニアが持っていたアンティークバッグを再現できないか？という話から端を発します。口金を作っている工場に聞いてまわると、そもそもそのバッグに付いていたプッシュ型の口金を作るところが少ない上、今では作れる職人自体が少なくなっていることがわかりました。薄く漉いた革を口金に巻く技術も高度な職人の技です。さて、どうするか？「それならその口金、うちのオリジナルとして作り続けていただきましょう」――オリジナルガマ口バッグの誕生です。第１号の素材はリネンキャンバスでした。クラシックなプッシュ型の口金は、状態のいいアンティークのような現行品という風情が魅力。貴重な口金なのです。

「素材とサイズについて」

口金は真鍮、鉄、アルミ、３つの材料を使っています。様々な素材とサイズが並ぶ多様なバッグの表情が良いという理由から、あえて画一化しないがま口バッグ作りを心がけています。素材展開、サイズ展開がトリッキーなので、お買い上げの際は、よくよく注意深くご覧ください。スタッフがお手伝いさせていただきます。

アンテロープという野生動物の革で独特な表情がある。クローム鞣し。重くならないように、あえて裏地なしの一枚革仕立て。また容量が大きいため、このバッグのみビス打ちを施している。耐荷重３㎏。ソニアのお気に入りバッグのひとつ。

イタリア・トスカーナ地方原産のクローム鞣し山羊革。繊維の密度がしっかりとしており、羊革より丈夫でさらっとしなやかさかつソフトな質感が特徴的。細かいシボで傷が目立ちにくい。透明感のある艶、発色性の高さが魅力。

イタリア原産のベジタブルタンニン鞣しの牛革。職人による革の表面に軽いダメージ加工を施した表情豊かな佇まいが特徴。使い始めはヌバック調のマットな表情だが、使い込むほどに艶が上がり味わい深い経年変化が楽しめる。

A&S定番の極厚のリネンキャンバスと、タンニン鞣しのキップレザーのコンビ。限界高密度の織り上げと丹念な揉み込みで風合いをだしたリネンと、アンティーク仕上げの丈夫な仔牛の革の表情が絶妙にマッチ。

イタリア原産のタンニン鞣しによるキップレザー。馬革や牛革の染料仕上げの表現を得意としているタンナーによる革は、キップヌメを使ったナチュラル感と、ハンドによるアンティーク仕上げで革の奥行きを演出。重厚になりすぎない軽さも表現されている。磨くほどに艶が上がり、深みの増すエイジングを楽しめる。