A&S 2025SS – 島染

〈島染〉のベースとなっている奄美の泥染めとは、テーチ木（バラ科の車輪梅）の染料と、泥田の鉄分の化学反応を使った染色技法です。およそ600㎏ものテーチ木をチップ状にして二日間煮出した後に4～5日寝かし、そのテーチ木染料（タンニン酸）で染めた後、石灰のアルカリで中和させて染めを進めていきます。この工程を10回ほど繰り返して乾燥させた後に、今度は自然の泥田の泥鉄で染料を繊維に定着させるため、泥田での染めと水洗いを何度も繰り返し、ターゲットとなる色の濃度を見極めていくのですが、すべての作業は人の手によるもので、とても長い時間と途方もない労力のいる染色工程です。

A&Sでは泥染めを応用した〈島染〉で、スタンダードな三つボタンのジャケットやロングシャツ、ゆったりした履き心地のパンツを作りました。リネン100％の〈High count fine linen SHIMAZOME〉は、細番手高密度リネン単糸織物に島染を施した生地です。

経糸に中番手のコットンのスラブ双糸、緯糸に中番手のリネン単糸を使った織物では、女性用のショートジャケット、イージーパンツをご用意しています。経糸には晒糸、赤土染糸、琉球藍染糸を差し込み、島や海に降り注ぐ陽射しをイメージして〈Cotton linen sunshine stripe SHIMAZOME（サンシャインストライプ）〉と名付けました。遠目には無地ながら、奄美での染め色が入り込んだ奥深い生地です。

*こちらの生地を使用したアイテムは、6月上旬の展開予定です。