日本や朝鮮の古物を好み、それらに倣い作られた形は、素朴で力強さがありながらも、古いものとは異なる魅力をもつ関健一の器。分業が主流の輪島では珍しく、木地から漆塗りまでの工程を一貫して自身で行うことにより、形状や彫り、塗りの具合などの隅々に作家の仕事が反映されています。塊から削り出し形を作る刳物(くりもの)という技術を用いた作品からは、木そのものの魅力を感じることができます。
本展では、春の到来が告げられるこの季節に因んだ〈黄口〉という漆での色表現を施した作品を初披露いたします。あわせて新作や定番の品々も集いますので、ぜひ直に手にとってご覧ください。うららかな春の陽気が嬉しい時期です。散歩がてらお気軽にお立ち寄りください。
PROFILE
木漆工芸作家。1982年大阪府和泉市生まれ。大学時代に恩師が携わっていた李朝木工の仕事がきっかけで工芸に触れる。卒業後、木工芸家·藤嵜一正氏に師事。2012年に塗師·赤木明登氏に師事し2019年に独立。現在は輪島市にて、自身で木地づくりから漆塗りまで一貫して制作している。