自由で大胆な貴金属や宝石の扱い方と、遊び心に富んだ表現によって生み出されるカール フリッチのリング制作には、ロストワックス技法が用いられています。この技法は、蝋でリングの型を作り、それを石膏の中に入れて釜で熱し蝋を気化させ、残った型に金属を流し込むことでリングの形状を作ります。カールはそこからさらに、蝋の段階で貴石を付けて金属を流し、貴石を金属に絡まった独自の状態に仕上げるというユニークな工程を加えています。偶発的な出来事を持ち味としながら、プレイフルな作品制作を行うカール フリッチのリングを、ぜひお手に取ってご覧ください。
本トランクショーでは、今年の新作を含む約30点のリングが集います。皆さまのご来店を心よりお待ちしております。
PROFILE
1963年ドイツ・ゾントホーフェン生まれ。1982-85年プフォルツハイムのGoldsmiths School にて学び、1987-1994年はミュンヘンのAcademy of Fine ArtsにてHermann Jüngerや Otto Künzliに師事。現在はニュージーランドへ移住し、制作活動を行いながらオーストラリアのRoyal Melbourne Institute of Technologie（RMIT）でも教鞭をとり、ニュージーランド、アメリカの大学で客員講師を務める。ワックスを手でこねて原型を作るなど、宝飾の世界の常識を逸脱した制作手法が独特。長年リングにこだわって制作を続ける。素材の貴金属と宝石がユニークなデザインと力強く合わさり、チャーミングな存在感を発揮する。コンテンポラリージュエリー界でとくに際立った存在感を放つ作家のひとり。
