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かみ添 「素と白」

このたび、唐紙を通じてさまざまな表現をおこなう〈かみ添〉の展覧会・素と白(しろとしろ)をOVER THE COUNTERにて12月9日(金)より開催します。A&Sでは初めてのご紹介となる〈かみ添〉。本企画では、唐紙にまつわるものづくりをはじめ、A&Sとの試みについて触れていきます。

Event details

©︎Maya Matsuura

唐紙(からかみ)とは、和紙に木版手摺により映しとられる装飾紙のことで、鎌倉から室町時代には建築様式の変化に伴い、衝立や屏風、やがて襖や壁紙などの室内装飾に用いられるようになったそうです。江戸時代には、神社仏閣のみならず、武家や公家、町人や茶人などに愛され、ひとつの文化的要素として広まっていきました。

 

2009年より京都の西陣にショップ兼工房をかまえる〈かみ添〉は、古くから日本人の文化や暮らしに寄り添ってきた唐紙の歴史をふまえて、現代の要素を取り入れた唐紙を提案しています。店主兼唐紙職人の嘉戸浩は、アメリカの大学でグラフィックデザインを学びフリーランスデザイナーとして働いたのち、京都に在る老舗の唐紙工房で修行を積み独立したという経歴からその独自の感覚と視点をものづくりに反映させています。

©︎Maya Matsuura
制作には、模様が彫られた版木、着色顔料(酸化鉄)や胡粉、雲母などの顔料、紙に接着させる布海苔、篩(ふるい)が用いられている。

「古典模様をしっかりと学び、それらの個性をある程度理解して、今の生活に合うように再編集している感覚です。文様に偏りすぎると賑やかになり過ぎるのでテクスチャーに重きを置いたり、あえて文様を入れずに素材の良さを全面にだしたり。この感覚は職人というよりもデザインを学んできた時に培った感覚が役立っていると思いますし、編集という例えを使うのものその感覚によるものですね」

 

〈素と白〉と題した本展では、〈素〉を紙の“しろ”に、〈白〉雲母の表現による“しろ”と捉え、和紙や顔料の素材そのものの美しさや豊かな奥深さを、屏風を軸に表現します。本来屏風とは“間を仕切るもの”。空間を切り、景色をつくりだす道具のひとつです。間仕切りや目隠しといった機能の部分は守りながらも、平置きや展示台、敷台にも使えるような薄くて軽い屏風の提案をご覧いただきます。

 

「意識しないと分からないぐらいに存在しているデザイン要素が余白であると考えています。主役の文様よりも余白、唐紙襖よりも空間、唐紙の色よりも周りの建材の色。それらが、リズムを生み空気を作ると感じています。なので、余白に気がついてほしいわけではなく、むしろ気が付かれずになぜか心地いいねと思ってもらえるものが作れるのが理想です」

屏風

本展では〈アーツ&サイエンス破れ七宝(やぶれしっぽう)〉と名付けられたオリジナル唐紙文様による品もご覧いただきます。A&Sのコレクションで用いられたアーカイブの小花七宝柄生地を編集した、あえて七宝を破り余白を作りリズムを作り、七宝の中の小花に代わりA&Sの鍵マークを不規則に配した文様です。線の細さと雲母との相性がとても良く、美しい唐紙に仕上がりました。

レターセット
〈アーツ&サイエンス破れ七宝〉の版木

PROFILE

かみ添/嘉戸浩

Academy of Art University San Francisco グラフィックデザイン科卒業。卒業後ニューヨークへ渡り、フリーランスデザイナーとして活動。帰国後、唐紙の老舗工房に入る。2009年独立、同年9月ショップ兼工房「かみ添」を京都・西陣にオープン。依頼主のリクエストや用途に合わせて、余白や文様の再現性などを編集し唐紙に仕上げている。

EVENT DETAILS

TITLE

かみ添 「素と白」

DATE

2022年12月9日(金) — 2022年12月30日(金) / 11:00 – 19:00
火曜定休