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Mira Stella at ARTS&SCIENCE

5月18日(土)より、A&S青山にてフランスのジュエリーブランド〈Mira Stella〉の取り扱いをスタート。日本初ローンチとなる同ブランドを、デザイナーのソフィー・ブイエ=デュマの言葉と共にご紹介いたします。

2015年に設立された〈Mira Stella〉は、デザイナー兼ファウンダーのソフィー・ブイエ=デュマが、植物学者であるマーク・ブラウンの協力のもとノルマンディーに創り上げた庭の植物がインスピレーションの源泉となっています。彼女の庭は、自然の秩序と生物の多様性を主とし、人為的でない自然の庭と花をこよなく愛した二人の女性、彼女の母ミラベルと曽祖母ステラの名前を合わせて〈Mira Stella〉と名付けられました。植物学に精通した彼女が選ぶモチーフは、太古から存在する野生の草花や野菜の、花びらや種で、原寸で形から花脈まで忠実に再現されています。全ての工程は、パリの工房で熟練した職人の手作業で仕上げられ、庭に差す夕焼けの光を思わせる18Kのローズゴールドが用いられています。

Interview with Sophie Bouilhet-Dumas

  • クリストフルの創業一族であるあなたは、数々のブランドのオブジェをデザインし、展覧会のキュレーション(ジオ・ポンティをフィーチャーしたものを含む)にも携わるなど素晴らしいキャリアを積まれてきました。どのような想いから〈Mira Stella〉を立ち上げたのでしょうか?

    • Sophie Bouilhet-Dumas(以下S)

      5代にわたる情熱的かつ創造的な起業家の家系に生まれた私にとって、彼らの足跡をたどることは自然なことでした。小さな宇宙の美しさを発見する喜びを伝えたいという熱意が原動力となり、ミラ・ステラ・プロジェクトに乗り出したのです。これまでのキャリアも充実したものでしたが、マーク・ブラウンと協力して野生の風景(庭)を創ることは、私自身に新たな見地を与えてくれました。自分の庭が花開き、その花の中にジュエリーを思い描いたのは、私の家系が銀細工の歴史に影響を受けているからだと思います。アジサイの花びらやシーケールの種、亜麻のさやのエレガンスさを、18Kローズゴールドを用いてパリの熟練ジュエラーの手で表現してもらいました。5,000万年以上も前から存在する不朽の自然のフォルムは、生命の本質に似た神秘性を持っています。〈Mira Stella〉は、私の母ミラと曽祖母ステラへのオマージュです。曽祖母は、ガーデニングの技術と自然から授かった植物への敬意を教えてくれました。私のジュエリーはすべて手作りで少量生産なので、ブランドの使命は自然の恵みに敬意を払い、本質を守りながら控えめな規模で運営することだと考えています。

Photos by Tom Mannion
  • ノルマンディーの自邸に創られた野生植物と土着植物を組み合わせた庭についてうかがわせてください。協力を得た英国人植物学者のマーク・ブラウンとの出会いは?そして、庭で育まれた植物をジュエリーとして表現するというアイディアはどのようにして生まれたのでしょうか?

    • S

      30代の頃、私のイングリッシュ・ガーデン好きを知る従兄弟から、マーク・ブラウンの著書『自然の息吹』をプレゼントされたのです。幼い頃、母が月刊誌『マイ・ガーデン』に目を通しながら日光浴をし、英国式の庭を手入れしている姿を見て育ったことも影響しています。何年もの間、彼の著書は私の枕元にあり、ノルマンディーの魅惑的なワイルドガーデンへの入り口となっていました。2009年ころ、母親業と両立できる創造的なプロジェクトを立ち上げる必要性を感じ、相続したノルマンディーの土地を改造することにしたのです。偶然にも、マーク・ブラウンはこの土地からほんの数キロのところに住んでいて、私たちと面識もありました。夫と私は彼に会い、彼の本に載っていた植物のリストと、蝶や鳥が集まるような環境を作るべきという母からのアドバイスを伝えました。私たちは、造形的な要素を最小限に抑えた、野草が蔓延る広大な草原のような庭を思い描きました。そして2015年に、私は周囲の人たちに励まされながら、庭で育てた植物からインスピレーションを得てジュエリーを作り始めたのです。

  • クリエイティビティの源ともいえるノルマンディーの庭で育まれる植物は、季節や成長段階によって表情を変えます。花や葉、種など、さまざまな形の植物をデザインに取り入れていらっしゃいますが、植物のどのような部分や状態に魅力を感じますか?デザインの観点からあなたの考えをうかがわせてください。

    • S

      ジュエリーの制作過程では、植物の魅力的な側面や状態を捉えることを大切にしています。たとえば、アジサイの花びらのコレクションは摘みたての姿であるように努め、鮮やかな透明感とみずみずしさを表現しています。逆にシーケールの種は、新鮮なときの丸みと時間が経って枯れた状態のふたつの側面が興味深く感じたのでその様子を表現しました。亜麻のさやの場合は、下の部分が木に似た色になる段階を選び、サテンウッドとゴールドバージョンを作りました。私は、甘美さと優美さを放つ生きた形に惹かれ、そういった性質をふくめてデザインするようにしています。

  • あなたの創作プロセスで最も重要な要素は何だと思いますか?

    • S

      新しいデザインを生み出すときは時間をかけるようにしています。周りの人や職人たちとアイディアを共有し、彼らからのアドバイスを慎重に受け止めつつ、最終的には自分の直感を信じます。ブランドを立ち上げたとき、私は、アジサイの花びら、シーケールの種、亜麻のさやをひとつずつ鋳造することから始め、徐々にジュエリーとしての可能性を探っていきました。植物から新しいデザインを得るときには、それが美しいだけでなく、機能的で軽く身につけやすいものであるかを試しつつ、それぞれの植物にまつわる物語も大切にしています。8000万年以上にわたって景観を飾り、アメリカからアジアまで大陸を横断してきたアジサイという品種に目を向けてみてください。開花後、何カ月も美しさを保つその力は、私にとって非常に魅力的です。亜麻のさやの形はとても女性的な形だと思いますし、素晴らしい物語も秘めています。私たちの社会は、飼料、癒し、洗濯、衣服、建築、家の装飾など、亜麻のさまざまな恩恵を受けており、ヨーロッパ文明の発展に最も貢献した植物のひとつでもあります。

  • ブランドの経営、パリのアトリエでの仕事やノルマンディーでの創作活動など、多忙な毎日を送られていますが、3人のお子さんの母親でもあります。ワークライフバランスをどのように保っていらっしゃいますか?

    • S

      このプロジェクトを本格的に始めたのは2021年で、子供たちが全員大学生になってから。それ以前だと、私には実現することは不可能でしたね。この数年間、少しずつ庭を作り続けてきたことで、健康的なワークライフバランスを保つことができています。植物を通して自然と調和することは、忍耐と謙虚さをもって一歩ずつ物事を進めることであると教わりました。自然と向き合うことは、無常を理解することです。仕事と私生活の適度なバランスをとるために、自身のペースに合わせながら少しずつコレクションを発展させていくつもりです。

  • 日本であなたのブランドを紹介する初めての機会です。あなたのジュエリーを心待ちにしているファン、ARTS&SCIENCEのお客さまへメッセージをお願いします。

    • S

      ARTS&SCIENCEには、日本のお客さまと繋がる素晴らしい機会を与えていただき心から感謝しています。独自の精神で〈もの〉を大切にし、精巧で洗練された環境づくりへの取り組みは本当に感動的です。このような体験に参加できることを光栄に思いますし、小宇宙の美しさに対する尊敬と愛を分かち合えるお客さまとの会話を楽しみにしています。

PROFILE

クリストフルの創業一族に生まれたソフィー・ブイエ=デュマ。イギリスの磁器メーカー、トーマス・グードのクリエイティブ・ディレクターとして研鑽を積む。エルメス、バーバリー、ポール・スミスなどのオブジェ・デザインなどを担い、2018年にはパリで開催された初のジオ・ポンティ回顧展のキュレーターとして参加。2015年に〈Mira Stella〉のジュエリー コレクションを発表。

クリストフルの創業一族に生まれたソフィー・ブイエ=デュマ。イギリスの磁器メーカー、トーマス・グードのクリエイティブ・ディレクターとして研鑽を積む。エルメス、バーバリー、ポール・スミスなどのオブジェ・デザインなどを担い、2018年にはパリで開催された初のジオ・ポンティ回顧展のキュレーターとして参加。2015年に〈Mira Stella〉のジュエリー コレクションを発表。

BRAND

Mira Stella

DATE

2024年5月18日(土)

STORES

A&S Aoyama

NOTE

5月18日(土)、19日(日)はデザイナーのソフィー・ブイエ=デュマが来日し、みなさまをお迎えいたします。ぜひ、ご来店ください。

Portrait photo by Ambroise Tézenas
Others photos by Tom Mannion