韓国・ソウルを拠点に制作を続ける陶芸家、金恵貞(キム・ヘジョン)。釉薬の色に強い関心を持ち、長い時間をかけて試作と実験を重ねながら、自身が納得できる色を追求してきました。これまで静かな佇まいの器を多く手がけてきましたが、近年は制作の方向性が少しずつ変化し、より自由な形態をもつ作品やオブジェへと展開しています。なかでも、青緑の釉薬〈Patina〉シリーズは、いびつさや変形を含んだ造形が印象的です。
本展では、新たな試みとして青磁釉による作品〈Celadon〉を初めて披露いたします。このシリーズは、2024年末にソウルで開かれた彼女の展示を訪れたA&Sクリエイティブディレクター、ソニア・パークが、試験的に制作された青磁釉の作品に惹かれたことをきっかけに、日本で紹介されることとなりました。
これまでの〈Patina〉とは異なる姿勢で制作された〈Celadon〉。基本的かつクラシックな形態から取り組み、釉薬の性質を探る試行錯誤が重ねられました。〈Patina〉では作家としての個性を率直に打ち出し、〈Celadon〉ではその奥深さに謙虚に向き合いながら形を探る。異なる姿勢によるふたつのシリーズは、いずれも色への探究心から生まれています。
釉薬の表情と形の関係から生まれる独自の世界観を、日常の器からオブジェまで、さまざまな作品を通してご紹介します。ぜひご覧ください。
PROFILE
陶芸家。東京都出身。韓国の美大で陶芸をはじめて以来、日本とイギリスで研鑽を積み、独自の作風を確立する。轆轤(ろくろ)から生まれるシンプルな形に静謐さがあり、力強く感覚的な魅力を放つ作品が世界で広く愛好されている。韓国ソウルを拠点に創作活動中。