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〈1+0 for A&S〉のカレー皿

陶芸家・伊藤環さんがプロデューサーという立場で関わり、陶工が手がける製品を展開する〈1+0(イチタスゼロ)〉。日々使うものとして“やきもの”が大量に作られた江戸時代に、名もなき陶工たちが無心で生み出した器に表現される質の高い仕事を、時代を超えて提案しています。このたび、1+0によるA&Sのためのカレー皿が完成いたしました。この器の誕生秘話や、1+0でのモノづくりについて伊藤環さんにお話をうかがいました。

  • 1+0での伊藤環さんの立ち位置、そしてモノづくりの方針をうかがわせてください。

    • 伊藤

      1+0に於いてはデザインとプロデュースを担っております。物が溢れる時代に新たに物を作る必要があるのだろうか…と資本主義経済の歯車に埋もれつつ、それでも作りたい欲求が湧いてきます。1+0のモノづくりはプロダクトとは言いながらも職人仕事が随所に見られる作家仕事に近い、もしくはそれ以上のスキルを必要とするプロダクトです。量産型プロダクトは使い捨てのような背景を背負わされてきましたが、1+0のアイテムは明治以前の職人仕事に見られる中量生産型特有の人の手痕(しゅこん)が滲み出るようなモノづくりを目指しています。

  • ARTS&SCIENCEが運営するDOWN THE STAIRSと2ND FLOORの器も手掛けてくださっています。様々なメニューに対応できることを想定して制作いただいた器と、カレーの器では異なったアプローチになりましたか?

    • 伊藤

      カレーの器は昔からライフワークとして取り組んでおりました。所謂ライスカレーと呼ばれる昭和の時代から続くカレー皿がテーマです。今回はDOWN THE STAIRSのカレーをいただきながら、現在お使いくださっている枯淡釉七寸リム皿をより食べやすい器にできないかなと思いご提案いたしました。私が30代の頃に作ったカレー皿は八寸サイズでしたが、50代の今は七寸で丁度良くなりました。結果としてカウンターのサイズにも収まり良く、皿の面積を最大限使えるようにリムは極力小さくしながらもA&Sらしくキリッとさせました。

  • このカレーの器を開発するにあたり、特に意識されたことはありますか?

    • 伊藤

      1+0 potteryで日頃からお世話になっている信頼のおける製陶所さんと開発致しました。釉薬や土については詳しいお話しは控えますが、これまでの経験を元にA&Sのディレクターであるソニアさんのご意見を伺いつつ、釉薬の微調整を繰り返しながら和と洋が混在する色調に辿り着きました。カレー皿については昔からの拘りで、スプーンで米の一粒まで掬いやすい形をデザインしました。プロダクトとしてこの様に縁の立ち上がりが内側に返ったものは技術的に難しく手間がかかります。そのため、石膏の鋳込み成形ではなく職人技を必要とする古典的な量産方法でもある機械ロクロによる成形を選んでおります。カレーをイメージしましたが、見込み部分も広いので一器多様にお使いいただけると思います。

縁の立ち上がりを内側に返し、米一粒まで掬いやすいデザインに。
裏面には1+0とA&S両方のマークが。
  • A&Sでは1+0の品々をA&S材木座や姉小路でご紹介しており、かつDOWN THE STAIRSや2ND FLOORでは実際に使うという体験ができる場を提供する予定です。

    • 伊藤

      器やモノを販売するお店は増えましたが、実際に体験を通して作品やプロダクトに触れられる機会があるお店というのは、作り手にとっても使い手にとっても大変魅力的で恵まれた環境だと感じております。更にSNSを通じて実際に使ってくださっている光景を目にすることは、生活の豊かさの想像を掻き立てるように思います。

A&Sで展開している1+0のプロダクト。 Cutlery Stand L: ¥8,800 / S: ¥7,700
Oval Plate ¥8,800
Rectangular Plate ¥8,800 / Square Plate ¥8,250
  • 1+0のプロダクトは、A&S Zaimokuza Kamakura、A&S Aneyakoji Kyotoにて展開

  • 今後の展望を聞かせてください

    • 伊藤

      これまで1+0は、マーケティングやリサーチを通した商品開発ではなく、私が日頃からあんなモノがあったら良いのに、自分だったらこうする、といった主観を軸にデザインしてまいりました。建築に例えますと、土地の癖や陽当たり、風の通りを考慮するという、謂わば限られた条件を紐解くことでその解釈に個性が生まれ建築されると思います。私も条件を探しながらその中で答え合わせするかの様にデザインを考えます。決して気を衒(てら)うことを追いかけず宿題を解決するような作り方が面白いと思っているので、これからも無理難題を持ちかけられることを楽しみに1+0の活動に取り組みたいと思っております。

カレー皿は、OVER THE CONTER、A&S材木座・姉小路にてご紹介しております。DOWN THE STAIRSと2ND FLOORでは3月末ごろから、このカレー皿をお試しいただけるメニューが登場する予定です。

Curry Plate

Detail
BRAND

1+0 for A&S

MATERIAL

Ceramic

SIZE

Φ20cm × H3.5cm
Φ23cm × H3.5cm

PRICE

¥7,700 (¥7,000 excl. tax)
¥9,350 (¥8,500 excl. tax)