glass ⇄ plastic
“古いプラスチックなどは、何故好きか?と聞かれても、ただ好き!という答えしか見つからない。なんとなく買い集めているうちに、このガラスの代用品として生まれたプラスチックをもう一度ガラスに作り戻したくなったのだ。プラスチックをガラスで、写すってちょっとナンセンスなことが楽しすぎたのだ。ただコピーするのではない、いろいろ切ったり貼ったりの試行錯誤が始まる。そこが私にとっての作家としての腕の見せ所でもあり、試練の場でもある。その後そのまま作り続け、工房のスタンダードになった作品もある。人類はプラスティックを産み、散々その世話になり、次は環境に悪いからと、排除していく。ナガオカケンメイさんが、プラスティックの経年変化の美を語りだした。結局、モノを使い捨てするのではなく、長く使っていこう、ということに繋がっていく。全面的に同意する”
- 辻和美
reclaimed blue
“2011年から始めたreclaimed blue projectも、もう13年目をむかえる。定番作品である「めんちょこ」をもう20年間、作って、人の手に渡してきたわけだから、そろそろ、割れたり、要らないなーと思われるのは当たり前だとおもう。ただ、フリーマケットなどで売られている現場に遭遇するのは、作家としてあまり良い気分ではない。ということで、いらなくなった、めんちょこ、引き取ります。と声高々にはじめたのだが、あまりお戻りはない。ただ、制作すると同時に工房に硝子破片、失敗作などは、毎年一定量は蓄積されるので、それを毎年溶かし直して何か特別なモノを作ることにしている。この青色に関しては、工房の定番作品は黒を多く含むので、その他の硝子と混ぜて溶かし直すと、コバルト成分が一番熱に強いということもあり、深い藍色が生まれるのだ。それも毎年微妙に違うところが面白い。さて、では何を作るか?なのだが、もともとはゴミだったものだから、なるべく、その真逆にある価値を感じられるもので少し、アイロニーを感じさせたいと最初に思った。日本人ならだれしも憧れを持つ李朝白磁、さらには、その元になった中国の唐、宋時代の陶磁器を自分自身のフィルターを通して作るとどうなるかに興味がでてきた。もう一度、再生された原料で、形をも再生していくことに挑戦していきたい”
- 辻和美
- OVER THE COUNTERは「9月27日(金)」、A&S Aneyakoji Kyotoは「10月11日(金)15時まで」は完全予約制となります。
- ご予約は抽選となります。希望される方は、受付期間内に下部の予約申込みフォームから、注意事項をご確認の上、ご応募ください。
PROFILE
ガラス作家、美術家。1964年石川県に生まれる。カリフォルニア美術大学卒業後、金沢卯辰山工芸工房ガラス工房専門員を勤め、1999年にガラス工房「factory zoomer」を設立。ガラス器の新しいスタンダードを目指し、制作に従事している。2005年には「factory zoomer/shop」をオープン。2010年に生活工芸プロジェクトのチーフディレクターを務めるなど、既成のジャンルにこだわらず、独自のスタイルで活動する。